ついに登場した『ミラーレス』はトラックから! メルセデスの新型アクトロスが標準装備でやっちゃいました

モーターショーのコンセプトカーでは、すでにお馴染みのミラーレス。従来のミラーに替えて、デジタルのカメラ/ディスプレイで後方視界を提供するシステムだ。それに関する国際基準が整備されたのを受けて日本でも2016年6月に保安基準が改定され、法律的にはミラーレスを実用化できる環境が整った。あとは、いつ、誰がミラーレスに踏み切るか?

待つこと2年余り。ダークホースと言ったら失礼かもしれないが、それはトラック業界から現れた。9月20日にハノーバーで開幕する商用車ショーでの一般公開に先駆け、メルセデス・ベンツが5日に発表した新型アクトロス。同社を代表する長距離輸送向け大型トラックの新世代が7年ぶりにモデルチェンジし、なんとミラーレスのシステムを”標準装備”して登場したのだ。

先代アクトロスを含めて欧州の長距離トラックでは、メインのミラーの下に視野角がより広い補助ミラーを並べ、これら2つのミラーをひとつのカバーに収めた縦長の大きなバックミラーが一般的。それを左右のドアに備える。大きなバックミラーは大きな空気抵抗を生むもの。それをコンパクトなカメラに置き換えることで空気抵抗を減らすというのが、メルセデスがミラーレスの標準装備化に踏み切った最大の動機だ。

長距離便トラックは年間12万km以上も走るから、運送業者にとって燃費は切実な問題。新型アクトロスはミラーレスの採用などによる空気抵抗低減とパワートレインの進化の相乗効果で、先代より最大で5%の燃費向上を実現するという。トラックのミラーレスは実利をもたらす新装備なのである。

カメラの画像は、室内の左右Aピラーに取り付けた縦長15インチ・ディスプレイに表示される。ディスプレイの上から2/3ほどが従来のメインのミラーに相当し、その下の1/3ほどが補助ミラーと同様の画像。ミラーレスになってもドライバーが戸惑わないように、画像の並べ方を従来のバックミラーと同じにしたわけだ。その一方、後続車との車間距離の目安になるラインをディスプレイに入れることができるなど、デジタルを活かした工夫も凝らしている。

ただし車両直前の真下を見るためのアンダーミラーは、従来のまま残した。メルセデスのリリースにその理由は書かれていないが、推察すれば、アンダーミラーの空気抵抗はバックミラーほど大きくないからだろう。また、ミラーレスのもうひとつのメリットはミラーそのものによる死角をなくせることだが、アンダーミラーは運転視界にほぼ入らない位置にある。カメラに置き換えても空気抵抗の低減や視界拡大といったメリットが出ないとなれば、アンダーミラーを残したのは合理的な判断だ。

新型アクトロスはレベル2の部分自動運転を実現する”アクティブ・ドライブ・アシスト“も標準装備。衝突被害軽減ブレーキの”アクティブ・ブレーキ・アシスト”は、50km/h以下なら歩行者にも反応する第5世代に進化した。コクピットにはメルセデスの乗用車と同様に2つの大型ディスプレイが並び、ハイテク感を漂わす。

走行中の車両データがクラウド上のデータセンターに常時送信され、それを分析してメンテナンスや修理が必要になるタイミングを事前連絡するサービスは、実は先代から行われている。新型ではさらに運行管理アプリが提供され、それをコクピットのディスプレイで操作できるようになった。スマホを介してアップル・カープレイやアンドロイド・オートを使うことも、もちろん可能だ。ミラーレスだけでなく、コネクティビティでも新型アクトロスは最先端を走っている。

メルセデス・ベンツを主力ブランドとするダイムラーは、大型トラックのシェアトップに君臨し続ける世界最大手。なかでもメルセデスはプレミアム・トラックと呼ばれる高価格帯の市場で戦っている。それを支えるのが、たゆまぬ技術革新。その意味で今回のミラーレスは、きわめてメルセデスらしいチャレンジと言えるだろう。

では、乗用車でミラーレスは、いつ、誰が? ネット上ではレクサスの新型ESが取り沙汰されているが、すでに新型ESを販売している米国レクサスのホームページを見ると、あちらではまだ設定されていない。日本の新型ESが乗用車世界初のミラーレスになる? 遠からず出るはずの答えを、楽しみに待ちましょう!

(千葉 匠)

 

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