【メルセデス・ベンツ CLSクーペ試乗】「450 4マチックスポーツ」は、CLSのプレミアム感をあますことなく味わえる上級な走り

メルセデス・ベンツEクラスから派生した4ドアハードトップモデル(メルセデスでは4ドアクーペと呼ぶ)のCLSは、世界中の自動車メーカーに影響を及ぼし、サッシュレスドアを持つスポーティな4ドアモデルが多数登場するきっかけとなりました。

そんなCLSも2018年に登場した新型で3代目に当たります。CLSもほかの多くのクルマと同じように、モデルチェンジを重ねるごとにボディが大きくなり、新型は全長×全幅×全高が5000×1895×1430mmとSクラスに迫るサイズです。

とくに全幅は5mmしか変わりませんので、かなり大きくなったと言えるでしょう。ホイールベースも2940mmとかなり長めの設定となります。

CLSには2種のグレード(エンジン)が用意されます。ひとつは2リットルのディーゼルターボを積む220d、もうひとつはこちらで紹介する3リットル直6ガソリンターボの450 4マチックです。

メルセデスは衝突時の安全性の確保が難しいこと、求める燃費が得られないことなどを理由に、一時期は直6エンジンの搭載を停止していましたが、Sクラスへの搭載をきっかけに徐々に再開されています。それを可能にしたひとつの技術が、48Vシステムを使ったマイルドハイブリッドシステムです。

 

エンジン単体でのスペックはは367馬力/500Nmもあるので、必要十分以上なものなのですが、そこにさらに250Nmのスペックを持つモーターが組み合わされます。マイルドハイブリッドなので、モーターのみで走行するEVモードはありませんが、発進や中間加速などより強いトルクを必要とする際にはモーターがエンジンをアシストし、非常に力強い加速感を得ることができます。

ターボによる過給とモーターによるアシストから得られる力強い加速はもちろん気持ちいいものなのですが、それ以上に直6エンジンが持つ滑らかなエンジン特性は、気持ちよさの塊と言えます。9速という細かい段数のミッションとの組み合わせは、どの速度、どの回転数からであっても、滑らかで優雅な加速感を味わわせてくれるのです。

従来の感覚でいえば、アイドリングからの発進でも気持ちのいい加速……だったのでしょうが、今は違います。エンジンが停止した状態からの再加速なのです。CLSのマイルドハイブリッドシステムは、エンジンが停止してコースティングモードに入りますが、このエンジン停止、再始動のタイミングはほとんどわかりません。タコメーターを見ていれば、エンジンの状態がわかりますが、そうでなければわからないほどにスムーズです。

450には標準でエアサスのエアボディコントロールを装備します。コンフォートではゆったりとした乗り心地、スポーツ+ではキッチリしたハンドリングを楽しめる設定で、ドライビングを楽しむことができます。

追従制御付きのアダプティブ・クルーズ・コントロールのアクティブ・ディスタンスアシストディストロニックや、レーンキープシステムのアクティブステアリングアシストの性能も高く、安心してドライビングができます。

CLSのもう一つのグレードである、ディーゼルエンジンの220dがより実用的なクルマであるとしたら、こちらの450は現実を超えた部分も楽しめるクルマ。CLSのキャラクターのなかでもっとも多くの部分を占めるプレミアムということを考えると、こちらのエンジンのほうがマッチングがいいでしょう。

1000万円を超える車両本体価格ですから、燃料の価格差を考えるのは無粋です。

(文・諸星陽一/写真・小林和久)